小島正憲の凝視中国

チャイナ・インサイドウォッチ&上海あれこれ:2012年1月 


チャイナ・インサイドウォッチ : 2012年1月
12.JAN.12
1.安陽市で民間金融とマンションバブル同時崩壊
2.武漢市で工員の集団飛び降り騒ぎ
3.陸豊市で住民自治への政府の譲歩
4.尖閣諸島関連ニュース
5.不動産関連ニュース

1.河南省安陽市で、民間金融会社崩壊に抗議デモ。 資金の過半は不動産融資に流出。

 2012年明け早々、河南省安陽市で数千人規模の抗議デモが起きた。安陽市では、昨年6月から安陽思麟レンタカー会社が民間から違法に高利で集めていたことが、新聞などのマスコミで暴露された。それがきっかけで市内の他の多くの民間金融会社へも、個人の投資者が資金回収に走ったため、ネズミ講的につながっていた民間金融会社は雪崩のように、いっせいに破綻し、それらの経営者の多くが夜逃げした。そのため個人投資家数千人が、これらの違法金融会社を取り締まらなかった政府に抗議するため、1/01、安陽市駅前に集結し、その一部は汽車に乗って北京に陳情に行こうとした。

 昨年末、安陽市政府は、違法民間金融会社の摘発に乗り出し、40社以上、関係者100人以上を逮捕した。それらの民間金融会社は安陽市内に300社以上あり、取り扱っていた金融規模は100億〜200億元で、月利3〜5%であったと言われている。また昨年まで、これらの会社は半ば公然と市中で事務所を構え営業しており、自営業者、公務員、退職者などが、少ない者で数万元、多い者は百万元以上を投資していたという。女性や老人も結構多かった模様。

 それらの民間金融会社は、別会社を作り、不動産や株、商品取引などに資金を注ぎ込んでおり、昨年後半からの不動産の冷え込みが資金繰りを直撃したという。安陽市政府は、昨年10/10、市内の不動産会社の安陽貞元集団に4.5億元を銀行から緊急融資させたが、焼け石に水であったようである。不動産会社は資金返済のために、安陽市内の住宅価格を30%値下げして販売に躍起となっている。

2.労働集約型外資の混迷

@武漢の富士康工場で、100人余の従業員が、屋上から飛び降り示威行動

・1/09、湖北省武漢市の東湖高新技術開発区の、富士康工場で、100人余の従業員が工場移転の賠償金や給料に不満を持ち、工場の屋上に集まり、「状況が改善されなければ飛び降りる」と示威行動を行った。ただちに武漢市長の康良智が現場に駆けつけ説得に当たり、夜9時ごろ従業員は屋上から退去。
ちなみに武漢の富士康工場は、2007年から操業開始、現在は約5万人の従業員を擁している。

・数年前から、中国全土の富士康の工場で、屋上からの飛び降り自殺が頻繁に起きていたが、今回の事件は、それを逆手にとったもののようである。私はこのニュースを聞き、すぐに中国人の若者に、「屋上に上った連中は、本当に飛び降りる意志のものは少ないのではないか。だれかにそそのかされたのではないか」と聞いてみた。すると彼は意外にも、「最近の若者は発作的に何をやるかわからない。もしあの状況で、下から挑発的な野次などが飛んでいたら、ひょっとすると半数ほどが実際に飛び降りたかもしれない」と真顔で答えてくれた。中国ではいわば集団ヒステリー的な様相が各層に表れてきており、今回の事件はその一面を表しているのではないかと考えられる。
今後、他社の工場にも、このような示威行動が蔓延すると、中国の工場は収拾がつかない大混乱となる。

・私は1989年、労働争議が頻発する韓国ソウルで、縫製工場を経営していた。そして韓国の労働者の権利の濫用に見切りを付け、中国へ工場を移転させた。そして一昨年、その中国の労働現場の今日の混乱を予測して、バングラデシュに工場を作った。私は、自分のこの判断が半年遅れていたら、現在のわが社はかなり苦境に立たされていたと思っている。中国の工場現場では、経営者や管理者が労働者の造反に、日夜、戦々恐々としている。この現況は外資も内資も変わらない。とにかく中国人も外国人も、経営者は工場という現場から、できるだけ早く逃げたいという心境に追い込まれている。これは経営者でなくてはわからない、外部の人間ではうかがい知れない心境でもある。

A各地でスト頻発

・11/30、シンガポールの通信機器製造受託会社:HI-Pインターナショナルの上海浦東工場で、工場移転に反対する従業員1000人余がスト。現工場付近に住む従業員が、移転後の通勤時間が5時間にもなることなどを理由に移転に反対しており、工場の門を閉鎖して、警官隊と衝突し30人近くが連行されたという。

・11月末、江蘇省太倉市の日系固定抵抗器メーカーの興和電子で、日本人幹部の態度に反発し、数百人規模のスト。

・12/01、広東省深セン市の香港系企業の至卓飛高プリント基板工場で、工場移転の補償問題をめぐり従業員1000人余がスト。

・12/04、広東省深セン市の日米中の合弁会社:深セン市海量存儲設備有限公司で、新会社への移行に伴う補償金などの問題をめぐり、従業員1500人余がスト。

・12/09、香港紙は、最近、珠江デルタ地区でひったくりや強盗などが頻発し、治安が悪化していると報道。景気の落ち込みを背景にしており、容疑者の7割は失業者であり、旧正月を迎えさらに犯罪が増加することが予測されるため、警察当局は市民に注意を促している。

・12/10、深セン市の日立製作所系の工場:日立グローバルストレージテクノロジーズで、スト中の従業員2000人と警察100人が衝突し、多くの従業員が負傷した。日立製作所は、この工場を米国のウェスタン・デジタルに売却する手続きを行っており、売却後の勤続年数の算定方法をめぐって従業員が5日からストを行っていた。警察が従業員のデモを阻止するために工場内に入ったところ、包囲され衝突。

・12/17、広東省東莞市の靴メーカー:裕星の従業員1000人が、会社側の「残業なしの通告」の撤回を求めてデモ。

・12/19、広東省仏山市のリモコンメーカー:華鷲自動控制器で、従業員300人が残業を求めてスト。工場側は受注量が激減し、残業の必要なしと回答。

・12/26、江蘇省南京市の韓国系企業のLGディスプレーで、8000人余の従業員がボーナスの増額を求めてスト。

・12/30、四川省成都市の国営大手化学工業:川化集団で従業員1000人余が、昇給と親会社からの分離独立を求めて高速道路の入り口をふさいで抗議デモ。約500人の警察と対峙。

・1/03、広東省台州市の香港系電器器具工場で、未払い給与3か月分の支払いを求めて、工員約500名がスト突入。

・1/01、広東省仏山市の53歳の労働者が、給与7か月分の支払いを求めて抗議、その後服毒自殺を図る。

・山東省徳州市で、農民工が給与未払いに抗議、その後変死。

・1/04、広西チワン族自治州の梧州市の香港系玩具メーカー:中拡永威傘下の工場で、従業員約1000人が賃金不払いに抗議してスト。

・1/05〜07、ベルギーの世界大手ビール会社:ABIの全額出資子会社で、現地従業員1000人余が給与アップや福利厚生の改善を求めてストライキ。

B最低賃金アップと工場・会社の閉鎖

・深セン市政府は、同市の最低賃金を2月1日から1500元に引き上げることに決定。香港の製造業者らは、最低賃金引き上げの1年間凍結を陳情していた。香港の製造業界では怒りと困惑の声が上がっている。その後、広東省政府は、省内(深セン市を除く)の最低賃金アップの引き上げ時期の延期を発表。

・広東省広州市の靴卸業者が閉鎖ラッシュ。海外受注の激減で、靴メーカーが生産を大幅に減らしたことにより、在庫が確保できず、閉鎖に追い込まれている。広州の靴メーカーは、原材料や人件費の高騰のため、すでに生産を海外に移転してしまっているため。中国の靴生産量は年間100億足超で世界の6〜7割を占めている。そのうち広東省では中国全体の4割を占めていた。

・1/04、広東省東莞市の有名衣料品メーカー「原野服装廠」の経営幹部がいっせいに夜逃げ。「異郷人」ブランドで、全国400か所以上で展開していた。残された工員は数百人。負債総額は3000万元。広東省のアパレル業界には、外需の低迷、原材料、人件費の高騰などによって、苦境に陥っているメーカーが多い。

3.広東省陸豊市烏坎村の暴動 → 住民自治への譲歩か?

広東省陸豊市烏坎村の暴動については、当局側と村民側が3か月間に渡って攻防が続いたこともあって、主要メディアで、その状況がかなり詳しく伝えられている。また現地発信情報などもあり、それらメディアの情報がほぼ正確であることが検証できているので、ここでは事態の詳細な経緯の記述を省く。なお、この暴動の程度はレベル3である。

今回の陸豊市烏坎村の暴動で特徴的なことは、まず村民側が自治組織「臨時理事会」を結成し、その指導のもとに抗議行動を計画的に進めており、村民が暴発化し、それを口実にした当局の弾圧介入を避けようとしたところにある。この地域一帯は、かつて解放闘争の先陣を切り、コンミューンを形成したこともあり、革命の聖地でもある。村の幹部の頭の中には、その伝統が残っているのかもしれない。またこの陸豊市では、一昨年、村落間での武装闘争も起きている。村の幹部がこの地域の住民の荒っぽい性格を考慮して、このような対策をとったのかもしれない。

次に、解決手段として、広東省共産党員会の朱明国副書記が直接乗り出し、事態を「妥協的解決」、つまり政府側の譲歩で決着させたことである。たしかにまだ事態は明確な結論を見せているわけではないが、政府側が村民側を一方的に鎮圧してしまうという従来のパターンではないことは確かである。これはこの間で、中国政府が見せている一連の大型騒動の解決パターンの流れに沿うものである。おそらく「村民に土地を差し戻すか、政府が妥当な額の賠償金を払うか」などで決着が図られるであろう。いずれにしても政府にとっては多大な出費である。

この烏坎村の騒動が沈静化した矢先、同じ陸豊市の新ジョウ村でも農地の強制収用に抗議する村民数百人による抗議デモが発生した。ある調査機関によれば、現在、中国全土の村民と政府との争議件数は、62万件に及ぶという。今後、政府がこれらの案件に、烏坎村型妥協的解決パターンを取るとするならば、そのために膨大な財政的背景を持たねばならなくなるだろう。

4.尖閣諸島関連ニュースから読む問題の本質

突然の金正日の死亡で、中国漁船の船長の韓国警察刺殺事件は、いささか霞んでしまったようだが、事態は興味深い展開を見せている。まずこの1か月余の事態の進行を下記にまとめてみた。

・2011年12/12、黄海の韓国の排他的経済水域で、違法操業中の中国漁船を取り締まっていた韓国海洋警察庁の特殊部隊員2人が中国魚船の船長にガラス片で切りつけられ、1人が死亡、1人が重症。韓国海洋警察は、船長を含む9人を拘束した。近年、中国の食生活の向上で魚価が高騰しており、中国漁船は拿捕承知の上で、黄海の韓国の排他的経済水域で、違法操業を続けており、最近では取り締まりに当たっている韓国の海洋警察に、集団で激しく抵抗するなど、狂暴化していた。

・なお、2010年9/7、日本の海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた中国漁船の船長は、現在、自宅に軟禁状態であると伝えられている。

・1/03、香港の「尖閣諸島の中国領有権を主張する活動家(世界華人保釣連盟)」約10人が乗った漁船が、抗議活動のため尖閣諸島を目指して香港を出航したが、現地警察の警備艇に阻止された。

・1/03、午前9時半ごろ、仲間均石垣市議ら4人が尖閣諸島に上陸。12時ごろ離島。

・1/04、午前11時ごろ、北京大使館前で、反日団体のメンバーと見られる男性が抗議文を読み上げたが、警備中の警官にただちに取り押さえられた。なお大使館周辺は多数の警官で警戒されている。抗議活動を抑え込み、日中関係への影響を最小限にとどめようとの中国当局の狙いがあるとみられる。

・1/05、中国外務省の羅照輝アジア局長は、ネット上での日本人市議らの尖閣諸島上陸抗議の声や質問に関連して、「解決の条件が整っていないのなら(日中間の同諸島をめぐる)争いを一時棚上げするべきだ」と訴えた。

・1/06、中国外務省国境・海洋事務局の易先良副局長は、ネットで昨年末に訪中した野田首相と温家宝首相の間で合意された「日中高級事務レベル海洋協議」について「重要な進展」と評価、「両国の東海(東シナ海)をめぐる争いを最終的に解決するための条件を作り出すものだ」との認識を示した。

・1/09、胡錦濤主席は訪中中の韓国の李明博大統領と会見し、中国漁船の違法操業問題について、「韓国の関心を重視する」とした上で、「中国漁民の教育と管理を重視する」と約束した。

・1/10、韓国の仁川地検は、韓国海洋警察官を刺殺した船長を殺人罪で起訴。他の中国船の船長もそれぞれ特殊公務執行妨害罪で起訴。

これらの経過から、「@中国政府は、“事を荒立てたくない”という姿勢を取っている、A中国政府は漁民を統御する力が不足しているのではないか、B一昨年の尖閣諸島問題はやはり“漁船の船長の飲酒の上の乱心”であったのではないか」などの点が読み取れるのではないかと、私は考える。

@中国政府は先進資本主義各国などに、覇権主義国家であると思われることを、極力避けたいと考えているからである。なぜなら、2012年の中国は経済的に大きな転換期に差し掛かっており、先進資本主義各国から資金援助を受けなければならい立場にあり、強面は損をするからである。

A中国国内では、モラルの崩壊が叫ばれて久しく、各地の暴動では人民が集団で警察と激しく渡り合い、双方に死人が出ることも珍しくない。その延長で、今回の事件が起きたと考えれば良いのである。中国漁民にとっては、自国の警察であろうと、多国の警察であろうと関係はなく、とにかく目前の利益のためならば恐ろしいものは何もなく、その行為が国際関係を緊張させるなどとも、さらさら思っていないということなのである。この裏側には、中国政府が中国漁民を統御できていないということを示している。

B一昨年の日本の巡視船への体当たり船長も、この類のモラルの低い中国漁民であったということなのであろう。まだ結論は出せないが、中国海軍が中国漁船を操っていると主張するのは、深読みし過ぎなのではないかと考える。

5.不動産関連ニュース

《 年明けも引き続くマンション価格の下落 》
・北京市の11月の平均価格は、新築住宅が1u=2万元を割り込み、中古住宅は直近15か月ぶりの低水準となった。新築住宅価格は最高時の2月時点から、21.3%下落している。不動産仲介業者は、「年末から来年1月までは、さらに8〜10%値下がりする余地がある」と話している。なお、ある不動産コンサルタント会社によれば、今年の1〜11月の住宅販売量は過去6年で最低と発表。

・不動産大手の万科の11月販売額は、前月比20%減、昨年同月比36%減となった。万科の郁亮総裁は11月に、「来年から不動産業は冬の時代を迎える」との見方を示している。

・広州市の11月の新築住宅価格は前月比4.8%下落し、1u=1万1232元となった。契約件数は前月比25%、前年同月比18%減少。

・11/02、中国人民銀行は、「不動産投資が伸び悩み、開発業者の資金繰りは厳しい。住宅価格は転換点にきている。価格が20〜30%下落しても、銀行と開発業者は持ちこたえられるが、狼狽売りのような状況になった場合が懸念される」と述べた。

・民間保険会社などの調査によれば、国内の富裕層は1世帯当たり平均3.3軒の住宅を保有していることがわかった。また資産の3/4が不動産関係で占められているという。

・12/12、青島市の新築住宅在庫が14万2千戸となり、これを消化するには丸2年を要す見通し。

・12/12、珠江デルタの住宅価格下落。深セン市の11月の平均販売価格は今年2月比で8.9%下落、広州市でも7.1%下落、中山市や仏山市など2〜3級都市でも下落し始めた。

・12月の深セン市の新築住宅価格、前年同月比15%下落。
・天津市の2011年の中古住宅取引戸数は4万5922戸で、前年比34.8%減。
・深セン市の2011年の中古住宅取引戸数は7万3765戸で、前年比40%減。
・上海市の2011年の中古住宅取引戸数は14万300戸で、前年比9.2%減。
・青島市の2011年の中古住宅取引戸数は1万2171戸で、前年比49.4%減。
・北京市の2011年の新築住宅成約件数は9万605戸で、前年対比18.4%減、前々年対比49.4%減。
・深セン市の2011年の新築住宅成約件数は3万2000戸で、前年対比13.2%減。
・北京市の新年のネット成約件数が大幅下落。1月第1週の新規・中古住宅取引ネット成約件数は、前月比34%減、前年同期比64.3%減。
・12/09、上海株、2年9か月ぶり(2009年3月以来)の安値。減速する中国経済の先行きへの懸念を背景に続落。

・12/09、香港紙は、中国政府が来年の経済成長率目標を今年と同じ8%に設定すると報道。同紙は、中国政府が引き続き積極的な財政政策と穏健な金融政策を実施するため、中国の財政は来年、景気刺激のため、赤字が拡大する見通しであり、地方政府の赤字は大幅に増えるという。

・国内130都市の土地使用権売却収入額、前年対比13%減の1兆8634億元(約22兆6000億円)。中でも住宅用地は2割以上減少。トップの上海市は1260億元で17%減、北京市は1019億元で38%減。昨年11月以降は各都市で購入希望者がなく、入札が流れるケースも急増している。



上海あれこれ : 2012年1月 
10.JAN.12
1.「世界チョコレート夢公園」 オープン


昨年末、上海の浦東新区花木路に、チョコレートをテーマにした娯楽施設「世界チョコレート夢公園」が、華々しくオープンしたので行ってみた。オープン期間は12月16日〜2月19日までの約2か月間。館内には、チョコレートによって外灘の景色や、西安の兵馬俑、敦煌の仏像、その他チャイナドレス、陶器などが作られ、陳列してあった。たしかに精巧に作られていたが、チョコレートだけに真夏の期間では溶けてしまいそうで、この厳冬期だけに限って行われる意味がよく理解できた。その他、チョコレートの製作実演や販売、アトラクションなども行っていた。ただし入場料が1人=100元と、かなり高いということもあって、来場客はちらほらという状態であり、これでチョコレートの消費が急増するとも思われず、また著名な外国チョコレートブランド会社が共催しているわけでもないこの事業は、大赤字ではないかと思った。

2.虹橋地区に大型コンベンション施設建設へ

上海市の沙海林副秘書長は、昨年9月、虹橋地区で進められているビジネスエリアの虹橋商務区内に、大型コンベンションセンター「中国博覧中心」を建設する計画を発表。予定投資額は230億元(約2760億円)、着工日や完成日は未定。用地面積は約104万u、屋内展示場面積は40万u。大型のコンベンション施設を増やすことで、国際会議やイベントの誘致を狙う。果たして、マンションバブル崩壊後も、この計画は続行されるのだろうか。

3.「虹橋路駅」付近に「新・淮海坊」が開業予定


新聞に長寧区の淮海西路で新たな商業街が、今年の4月末にオープンするという記事を見たので、行ってみた。たしかにそこは、地下鉄3・4・10号線が乗り入れている「虹橋路駅」のすぐそばで、人通りが多く、商業街には好適だと思った。この商業街には高級ブランド50社あまりが出店する見通しだという。周辺にはまだ高級店は少なく、これも狙い所はよいのではないかと思った。それでもまだ開業4か月前なので、現場には入居者募集の看板があるだけだった。

4.「楊浦区五角城」で、上海初の都市型アウトレットモール開業予定?

昨年9月、楊浦区五角城に上海初の都市型アウトレットモールが、年末にオープンする予定だという記事が、新聞に載った。新聞記事には、「楊浦区五角城でオープンを予定している商業施設、“緑色米蘭広場”に入居する」と書いてあったので、年明けに五角城に行き、「緑色米蘭広場」を探した。ところがその建物はなかなかみつからず、誰に聞いてもわからなかった。区の商業部門に問い合わせたが無駄だった。仕方がないので、「この近辺に、最近アウトレットモールができませんでしたか」と聞いてみたが、要領を得なかった。残念ながら、結局、「緑色米蘭広場」も、上海初の都市型アウトレットモールも探し出せなかった。

5.「ブランドオフ」、南京西路に中国1号店オープン


日本企業の「ブランドオフ」が9月末、南京西路に1号店をオープンしたので、年明けに行ってみた。「ブランドオフ」は中古ブランド品の買い取り・販売を手がける企業で、中国の富裕層やホワイトカラーをターゲットに中国進出を決定。その1号店は繁華街というよりは、上海で古くから外国人がよく利用する有名なポートマンホテルなどの近くにあり、「上海展覧中心」の隣にあった。たしかにこの近くを通る外国人は多いだろうが、果たして上海の富裕層やホワイトカラーがここに買い物に来るだろうかと思いながら、店内に入ってみた。平日の夕方5時ごろであったためか、お客さんは少なかった。それでもすでに南京東路に2号店がオープンしたという貼り紙がしてあり、かなり儲かっている様子であった。引き続き北京や大連の主要都市にも進出する予定だという。面白いことに、この店の棟続きで、香港の同業者「ミラノ・ステーション」が店開きしていた。同社も3年以内に、中国で24店舗を出店する計画だという。

6.「クロスカンパニー」、中国2号店オープン


 日本の新興アパレルメーカーの「クロスカンパニー」(岡山市)は、中国2号店を昨年12月9日、虹口区の商業ビル「龍之夢虹口店」にオープンした。昨年9月にオープンした人民広場のラッフルズ百貨店3階の1号店で、女性向け主力ブランド「アースミュージック&エコロジー」の売り上げが好調であり、年間計画の2倍のペースで推移しており、今回の2号店へのオープンになった模様。同社は今後3年間で、中国全土で120店舗の展開を目指す。

7.東莞の衣料品製造メーカーの経営者夜逃げ : 上海の直販店などすでに閉鎖


東莞市の有名衣料メーカーの、「東莞市原野服装」が1/02、倒産した。同社は先月30日までは通常運営を続けていたが、その後、経営幹部が夜逃げしたという。受注減などから資金繰りに行き詰まったものと思われる。負債は借入金と加工賃などで2000万元(約2億4千万円)以上。同社は、「異郷人」などのブランドで、全国に20か所の総代理店と1000店近い直販店を持っており、ピーク時には1000名近い従業員を抱えていた。なお「異郷人」ブランドは、「広東省著名商標」に指定されているほどだったが、近年の過当競争の中で、次第に苦境に追い込まれたようである。

上海にもかなりの数の直販店があったようだが、そのほとんどがすでに閉鎖されていた。ネット上には、市内の七浦路や東靖路などに店舗があると書いてあったので、まず七浦路に行ってみたが、その番地の周囲をくまなく探し、聞き回ったが見つけ出すことができなかった。次に東靖路に行ってみたところ、まだ「異郷人」の看板を掲げた店があったので、店内に入って様子を聞いてみた。その店では、すでに1年ほど前から、直販店の契約はしておらず、現在は他のメーカーの商品を取り扱っているということだった。

8.サンリオ、香港の商社に中国本事業を委託

ハローキティなどのキャラクターを持つサンリオの子会社:サンリオ上海は、これまで直接手がけていた中国本土事業を、今後、香港商社最大手の利豊傘下の企業に委託すると発表。サンリオは、本土事業の開拓は、中国系のネットワークがしっかりしている企業に任せた方が得策と判断した模様。

9.上海のマンション販売、年明けも下落傾向続く

上海市統計局によると、同市のマンション販売面積は、1〜11月では昨年対比17%減、11月単月では同33%減。
この下落傾向は年明けも引き続いている。ネット情報によれば、1/05までのマンション販売件数は昨年対比80%減。
この状況に不動産仲介業者は、豪華マンションの価格を15〜20%値下げして売り出し、既購入者の抗議を抑えるためには、賠償金6億元を用意したという。
市内では、今までにはなかった下記のような光景を見かけるようになってきた。
・不動産仲介会社の社員が、街頭でマンション販売のチラシを撒くようになった。
・マンションの持ち主が、直接、街頭で看板を出して、マンション販売をするようになった。
・マンションの持ち主が、自分の住んでいるマンションの全部の入居者に、販売チラシを戸別配布するようになった。