小島正憲の凝視中国

ニュース短評:2011年5月 & 上海あれこれ:2011年4・5月  


ニュース短評 : 2011年 5月
03.JUN.11
1.中国経済変調の兆し 急減速の可能性あり

@中小零細企業を襲う4重苦 → 融資難、電力不足、人件費高、人民元高
 目下、中国では中小零細企業が4重苦に襲われ、立ち往生している。政府がインフレ退治のために行っている金融引き締めの結果、多くの企業が銀行から融資を受けられず、ヤミ金融に手を出さざる得ない状況に追い込まれている。また人災とも呼ばれる電力不足により、受注があっても工場操業ができない。さらに政府の最低賃金引き上げの煽りで人件費が高騰し、それが経営を圧迫している。人民元高の影響で、多くの労働集約型外資企業が他国に転出してしまい、下請けなどを行っていた輸出向け企業の受注が激減している。

※これらの現象は、ことに広東省の珠江デルタ地域に集中的に現れているようなので、私は6月中旬に現地調査を行う予定である。

A2008年の金融危機後より受注減深刻:広州の服飾工場が悲鳴
 海外のアパレルや靴メーカーが、製品の生産・加工委託を国内内陸部や東南アジアなどへ移管している影響を受け、広州市内で受託生産してきた下請け工場で大幅に受注が減り、生産調整や稼働停止、または倒産に陥るケースが目立ってきている。業界関係者は、世界金融危機直後より深刻な状況」と指摘している。

 広州市内の工場で受注が減った直接的な原因は、原材料費と人件費の高騰だ。綿などが高騰したことに加え、労働者不足で人件費が2割近く上昇したため、広州の工場はコスト上昇分を受託代金に転嫁しなければ、稼働が継続できない状況となった。 その一方、コスト高を嫌う海外企業は、アパレルや靴の委託生産をベトナム、バングラデシュなど東南アジアへの移管を拡大するようになり、結果として広州の工場で受注が大幅に減っている。

B追加利上げで中小企業が苦境に追い込まれている
 中国商務省の機関紙:国際商報は、4/07付け一面トップで、「追加利上げで中小企業が苦境に追い込まれている」との記事を掲載し、ある服装業者の「追加利上げのたびに生産計画が妨げられる。海外からの受注拡大にもかかわらず、増産計画を諦めざるを得ない。原材料と労働コストの上昇に加え、融資引き締めや金利上昇で銀行融資を得るのは難しく、銀行以外で借りる場合には、年利15%超の高利となり、営業を続行することが難しい」との話を紹介している。

C中国の中小台湾系企業、倒産の危機に直面
 台湾の経済誌:工商時報は、5/18付けの紙面で、中国在住の台湾系の中小企業が、電力と人手、資金の不足が深刻化している影響で、倒産の危機に直面していると報じている。中国では最近、電力不足の懸念から、広東省東莞や深センで計画停電を実施しており、工場運営に影響が出ている。また、近年の人手不足、当局の金融引き締め政策による借り入れ困難が重なっている。

D珠江デルタの香港系工場、電力不足で半数倒産か
 深刻化する電力不足の余波を受け、珠江デルタに5万か所あるとされる香港資本の工場のうち、半数が年内に倒産するのではないかとの見方が出ている。労働者不足やインフレなどもあいまってコスト上昇は避けられず、広東省で作り、香港で売る香港企業お得意のビジネスモデルは岐路に立っている。

東莞市では週のうち3日間のペースで電力供給を止められている企業もある。また工業団地に入居している香港系企業によれば、1か月で10日以上も電力供給がストップしており、団地内の企業はほとんど操業停止状態に追い込まれているという。

E金融引き締めで中小企業、貸し渋りに直面、ヤミ金横行
 中国の金融引き締め、とりわけ預金準備率の引き上げを受け、銀行の融資余力が低下し、中小企業が「貸し渋り」に直面している。資金繰りが逼迫した一部企業がヤミ金融や高利貸しへの依存を高め、社会問題化する恐れが出ている。

 現在の預金準備率は21%と過去最高になっているが、人民銀は今後も引き上げる方針を示している。

長江デルタではヤミ金融が活発化しており、浙江省温州市のヤミ金融市場の規模は、推計1800億元(約2兆2500億円)を突破したと見られている。ヤミ金の年利は48〜72%と桁外れに高く、そこから借り入れた業者は結局、事業継続を諦めるケースが多い。

F中国経済急減速回避で年内利下げか
 中国国家発展改革委員会傘下のマクロ経済学会の王建秘書長は、5/11、「中国は経済成長が急減速するのを回避するため、年内に利下げに動く可能性がある」との見通しを示した。また「新規プロジェクト向けの支出が落ち込む中で、間もなく固定資産投資は勢いを失うだろう。投資減少、消費低迷、不安定な輸出などを背景に、中国政府はマクロ経済政策を見直す可能性がある」とも語った。

G自動車生産過剰への懸念再浮上
 今年4月の自動車販売台数が2009年1月以来の昨年同月比マイナスに転じるなど、自動車市場の減速が鮮明になる中、以前からささやかれていた自動車の生産過剰を憂慮する声が高まっている。過去2年間の好調を背景に主要メーカーが生産目標引き上げを進めた結果、2015年には少なくとも1000万台以上が余剰となることが予測されており、このまま市場の減速が進んだ場合は、余剰台数がさらに膨らむ可能性がある。

H広東省の新車登録、金融危機以来のWマイナス
 広東省の4月の乗用車新車登録台数が前月比、昨年同期比でいずれも減少した。ともにマイナスになるのは世界金融危機があった2008年11月以来。広東では日系乗用車の需要が大きく、東日本大震災の影響で市場への供給が減ったことが響いた模様。日系の生産が回復するに伴い、通年では前年比10%程度の健全な伸びを記録するとの見方もある。

I中国の11年度成長率予測、9.0%に下方修正
 経済協力開発機構(OECD)は、5/25、中国の2011年度の実質GDP伸び率が9.0%になるとして、昨年11月の前回予測9.7%から下方修正した。中国人民銀行は昨秋以来、4回にわたって利上げを実施。預金準備率も相次いで引き上げ、市中から余剰資金を吸収しようとしている。OECDは「引き締めによって、成長が抑制されている」としている。

 米金融大手ゴールドマンサックスは、このほど中国の今年通年の国内総生産(GDP)の伸び幅についての予測値を、従来の10%から9.4%に下方修正した。

J香港金融管理局、各銀行にストレステスト要求
 香港金融管理局は、地元の各銀行に対し、預金流出が経営に及ぼす影響について調べるストレステストを実施するように通達した。

K中国、5年以内に金融危機発生か
 ブルームバーグが最近行った調査の結果、45%のグローバル機関投資家らが、中国の経済高成長はすでに頂点に達し、5年以内に金融危機が発生すると予想していることがわかった。なお2016年以降に生じると予想している機関投資家たちを加えるとその数は85%以上となる。また53%の投資家が「中国はすでにバブルの真っ只中」と見ている。

2.華北・華中で異常渇水

@長江中流で干ばつ深刻
 中国気象局は、1/1〜5/10までの長江中流域で、降水量が少なく、過去50年来最少であると発表した。湖北・湖南・江西3省の降水量は平年の同時期の半分以下であるという。

A長江流域の渇水、物価・景気両面に影響
 長江流域の異常渇水は、農業生産・発電・水運・工業生産に大きな影響を及ぼしている。三峡ダムの放水量を増やすなどの対策を取っているが効果は出ていない。さらに同ダムの放水余力も少なくなっており、このまま渇水が続けば6/10ごろには供水できなくなる恐れがあるという。天候不順で農産物価格が上昇し、同時に水の輸送能力が低下し、各地でモノ不足が起き、さらに価格を押し上げる可能性が出ている。また渇水で水力発電所の発電応力が低下し、火力発電所への石炭供給の水運もままならず、目下の電力不足に拍車をかけ、鉱工業生産が鈍化する可能性も指摘されている。まさに中国経済は悪循環に入ろうとしているという専門家もいる。

B長江流域の異常渇水、農地の被害は696万ヘクタールに及ぶ
 長江流域の異常渇水は、湖北・湖南・江西・安徽・江蘇の5省に及び、農地の干ばつ被害は696万ヘクタール(150億元の損失)、3483万人が被害を受け、423万人余が飲料水にも不足しているという。

C武漢近辺の渇水状況 ※わが社の合弁工場は武漢近辺の黄石市にある。
・南京⇒黄石は揚子江で最も水深があり、船舶に影響は出ていない。
・農業水に影響は出ているが、黄石は軽微。
・武漢より上流は水深が浅いので、渇水の影響が出ている。
・上流部で農業、輸送関係に影響が出ている。

・武漢上流400~500km貴州へ向かう”九曲回腸”という難所、河が9回曲がりくねっている箇所の船舶が停止ぎみ。

・その近辺の洪湖(湖北省)という湖が干上がって、最大水深30cmになっている。

C長江河口で海水逆流、取水口で塩分濃度上昇
 長江の異常渇水で、上海市の主要な取水源となっている長江河口で、長江の水位低下で海水が逆流してくる「咸潮」現象が起こり、これにより取水口付近の塩分濃度が高まり、市北部に水を供給している宝山区の「陳行水庫」は、一時的に取水を見合わせた。この状況が長期化すれば、上海市が深刻な水不足に陥る可能性があるという。

※上海市宝山区新川沙路にある「陳行水庫」の門衛によれば、「咸潮」現象は連日続いている。なおこの現象は、通常は冬に発生するもので、この時期に発生するのは極めて珍しいという。

  
   「陳行水庫」:宝山区新川沙路

D三峡ダムの弊害、初めて認める
 中国国務院常務会議は、三峡ダムについて、「巨大なメリットと同時に、移民の生活や生態環境保護、地質災害予防など、早期に解決しなければならない問題が存在する」と懸念を示した。また「中・下流の水運、かんがい、水供給に一定の影響を及ぼしている」ことを認めた。

3.電力不足事情

@夏場の電力最大4000万キロワット不足の恐れ
 中国送電最大手、国家電網の帥軍慶副社長は、5/23、今夏は2004年以来の深刻な電力不足に直面し、中国全土で3000万から4000万キロワットが不足する恐れがあるとの見通しを明らかにした。

・上海市は安徽や福建、四川、重慶、湖北などの省などから870万キロワットを購入する予定であるが、それでも100万キロワット規模の不足が見込まれている。 

※わが社の上海市青浦にある合弁会社には、5月末現在、地元政府から計画停電の要請はない。2004年当時は週1回の計画停電があり、わが社は発電機を購入し対応した。現在、急きょ発電機のメンテナンスを行い準備中。

・広東省では、最大400万キロワット程度の電力不足が生じる見通し。鉄鋼・セメント・電解アルミ・鉄合金などの8業種を主な対象とする電力供給制限を実施する方針。東莞市ではすでに週1〜3日間の電力供給制限が実施され、電力消費の多い工場が深刻な影響を受けている。

・浙江省の電力不足は恒常化しており、今夏は430万キロワットが不足する見通し。

・江蘇省の今夏の電力不足は、最大で1100万キロワット。

・河北省の今夏の電力不足は、最大で300万キロワット。広範囲にわたる停電や電力使用制限を避けるため、同省は23日までに、火力発電用の燃料となる石炭を215万トン備蓄したという。

A電力不足は人災か?
 専門家によると、今年第1四半期は石炭供給の逼迫で価格が上昇。火力発電所の経営が悪化し、操業意欲や効率が低下している模様。価格上昇で、安価かつ低品質の石炭に依存した多数の火力発電所が、故障や検査で操業を停止したことも、電力不足に拍車を掛けている。一方、降雨不足による河川水位の低下で水力も、発電能力が低迷。昨年後半に、5か年計画の省エネ目標を達成するため、計画発電などを実施した反動で、今年に入って需要が予想以上に急増したことも、電力需要を押し上げている。また発電所と送電ネットワークのバランスが悪く、華北に電力の余裕があるにもかかわらず、華中・華南で不足しているという問題もある。

B送電会社は巨額の利益計上、発電会社は赤字
 専門家は、「中国の送電会社の2010年1〜11月の利益は592億元と巨額。発電会社の赤字は2008年からの3年間で、600億元以上。この送電会社と発電会社の利益のアンバランスはきわめて異常である」と、指摘している。

 中国では2002年に、国家電力会社を発電事業と送電事業に分離した。発電事業は5つの独立した発電会社に再編成し、送電事業は「国家送電会社」と「南方送電会社」に分け、「国家送電会社」の傘下に華北、東北、華東、華中、西北の5つの地域のグループ企業を設立した。これらの過程で、各方面の権益が複雑に入り組んだと思われる。

C電力不足、2013年には7000万キロワット規模にも
 状況に大きな改善が見られなかった場合、電力不足は12年に5000万キロワット、13年には最大7000万キロワット規模に達する可能性がある。

Dディーゼル油需給が逼迫
中国各地では電力需給の逼迫に伴い、自家発電のためのディーゼル油需要が急増している。

4.食品安全事情

@破裂スイカ登場
 江西省鎮江市延陵鎮大呂村で、農民たちが、スイカが早く、大きく、紅くなることを狙って、成長促進剤を注入したところ、収穫直前にほとんどが破裂し、売り物にならず、農民は大損をしてしまった。このことが全国に報道されたため、一時的に、スイカの販売量が3割減少し、卸売り価格も1/3に下落した。当局は「膨張剤の主成分は植物成長ホルモンで、食べても健康に害はない」と話している。

 
    破裂したスイカ(ネット上から転載)

A食品安全事件で57人が立件
 中国最高検は、食品安全に携わる国家公務員で、職務犯罪に関わったとして検察によって立件された人が、今年に入って57人に上ったことを明らかにした。

B上海市、食品安全委員会発足
 上海市政府は、5/23、食品の安全や衛生状況を確保するため、上海市食品安全委員会の発足を宣言した。同時に「食品安全工作をさらに強化する実施意見」を公表、市内全域にそれを貼付した。「意見」には、監督部門の役割分担の明確化や、食品製造企業の管理強化、法律に基づく取り締まりの強化などが盛り込まれている。

※たしかに上海市内の随所に、この「意見書」が貼り出されているが、拝金主義の前には無力なような気がする。

C火鍋の調味料の表示義務付け
 大連市食品薬品監督管理局は、市内の飲食業者に対し、このほど鍋料理の自家製スープや調味料に使っている食品添加物をメニューに明示するように通達した。

5.鉄道事情

@鉄道省、汚職発覚で今年の投資額は半減
 劉志軍前鉄道相が汚職で失脚したため、鉄道省は今年の鉄道事業への投資額を当初の7000億元から4000億元へほぼ半減させた。後任の盛光祖鉄道相は、劉志軍前鉄道相策定の投資計画をリスクが高すぎると判断。ただし中国の鉄道インフラへの投資は、経済成長の重要な原動力であるため、経済面での影響が心配されている。反面、中国の新聞は、鉄道省消息筋の話として、今年の中国の高速鉄道投資は、6393億元で、新たに4715キロを開通させるという見通しと報道。

A最高速度引き下げで、2000億元圧縮

 先ごろ決定した高速鉄道の最高速度引き下げ(350キロから300キロへ)で、今年の鉄道建設投資が2000億元以上圧縮される見通しだという。

B高速鉄道、営業・工事停止命令相次ぐ

 中国環境保護省は、このところ環境審査の不備を理由に、高速鉄道工事や営業の停止命令を相次いで出すなど、強硬姿勢を強めている。劉志軍前鉄道相の失脚や第12次5か年計画で経済成長最優先を改める方針が打ち出されたことが影響しているものと思われる。

C相次ぐ航空路線廃止

 内陸部を中心に、地方都市間の航空便が運航を停止するケースが増えている。高速鉄道網の整備が急速に進む中、移動手段を高速鉄道に切り替える動きが進んでいるためで、今年に入ってからでも、上海〜鄭州便、南京〜武漢便、武漢〜南昌便などが運航をすでに停止した。交通網の整備に合わせ、航空と鉄道、さらに高速バスなども巻き込んだ交通機関の大幅な再編が始まりつつある。

※たしかに私も、最近、南京へ行くことが多いが、すべて高速鉄道を使っている。直行列車ならば1時間半足らずで行くことができるようになり、飛行機よりも速くなったためである。もちろん価格もかなり安い。

D特急の切符購入に実名が必要?
 中国の新聞に、時速200キロ以上の高速列車の切符購入に、実名登録が必要となったと報じられた。理由はさだかではない。上海市では、購入後、システムに切符を失くした人に再発行する場合の対処などが組み込まれておらず、窓口が混乱したため、一時、延期になっている模様。

※先日、南京行きの特急列車の切符を購入に行ったが、窓口では身分証明書などの提示は求められず、従来通りであった。

6.高層ビル建設ラッシュ

@中国では現在、300mを越す高さのビルが、10棟以上建設中(香港を除く)である。
A金持ち農村で有名な華西村に高さ328mのビル
 江蘇省華西村に高さ328mのビルが出現した。華西村は工業化に成功し、中国でも一番の金持ち村となり、その成功例を学ぼうと全国から視察団や観光客が毎年250万人訪れる。今度はその視察団を相手に、観光で金儲けを目指して総工費約30億元を村で拠出、このビルを建設したという。なお、同村では航空観光事業の参入するため、ヘリ2機を購入した。

B湖北省武漢市に、世界第3位の高層ビル建設
 湖北省武漢市に高さ606mのビルが建設されることになった。中国では上海浦東新区に建設中の上海中心ビル(632m)に次ぐ高さである。2017年に完成予定。

C天津浜海新区に100m超の高層ビル62棟が完成
 急速な開発が進む天津浜海新区のビジネス・金融区に、高さ100m以上のビジネスビルがすでに100棟以上完成した。最高は388mの広東富麗大厦。なお同金融区には、100m以上の高層建築があと120棟建設される予定。

Dこれらの高層ビル建設ラッシュに、識者は下記のように意見を述べている
・中国人は政府も民間も派手好きで、しかも張り合うのが好きなので、採算性や安全性を忘れ、どんどんビルが高くなっていってしまう。

・超高層ビルの建設で周辺の土地の価格が上昇するため、土地売却収入に依存している地元政府は建設を歓迎する。

E上海の高層ビル「上海環球金融中心(通称:森ビル、492m)」は、2008年に1250億円をかけて完工したが、その後、予定通りの入居者が集まらず、2010年度からフロアーごとの売却に切り替え、すでに6フロアーを160億円超(推定)で処分したと報じられている。今後もフロアーの売却を前向きに進めるという。これは住宅バブル崩壊を視野に入れた行動とも考えられる。

7.観光開発の現状

@華国鋒の墓地建設、1億元の投資
 このほど山西省交城県に、華国鋒元共産党主席の墓地が完成した。建設費は1億元(約13億円)、墓地の面積は10万uで、ネット上では「皇帝の陵墓のようで、無駄使いである」として批判の声が出ている。この墓地は共産党指導部の承認を得ており、地元では「観光資源になる」と歓迎している。

A張国Zの故郷を修復、1000万元の投資
 このほど江西省上栗県金山鎮山明村にある張国Zのゆかりの地で、張国Zの家族たちが住んでいたという古民家が1000万元(1.3億円)かけて修復され、遺物などが保存・展示されることになった。7月にオープン予定。上栗村では、2年前にも修復の動きがあったが、張国Zが共産党に反逆した歴史上の罪人であるということから、全国から反発され断念していた。それでも歴史学者らの「歴史に大きな影響を与えた人物である限り、たとえ反逆者でも遺物などは保護されるべきである」という声に押されて、修復することになったという。地元では「観光資源になる」と歓迎している。

B浙江省にハローキティパーク建設、2億ドルの投資
 このほど浙江省の安吉市に、ハローキティパークが建設されることになった。投資額は2億ドルで敷地面積は60万u、浙江銀潤休閑旅遊開発とサンリオの間でキャラクター使用のライセンス契約が結ばれ、2014年に開園する見通し。

Cビザなしでの国境周遊観光が始まる=中朝ロ
 中国、ロシア、北朝鮮の国境地域をビザ免除で周遊できる観光が、このほど始まった。ビザなし観光により、中朝ロ3国にまたがる図們江(朝鮮名・豆満江)流域の開発や経済交流の活発化が期待されている。中国国営新華社

 通信によると、多国間を周遊するツアー催行は中国にとって初めて。初のツアーは4月26日に吉林省長春を出発。国境の同省琿春からロシアに入り、スラビャンカ、ウラジオストク、ハサンを回り、北朝鮮の豆満江、羅先を巡って4日間で琿春に戻るルートで実施された。



上海あれこれ : 2011年4・5月
27.MAY.11
1.ルイ・ヴィトンのトランク大看板撤去開始
 上海市南京西路の商業ビル「恒隆広場」にあるルイ・ヴィトンのトランク大看板が、地元の強い要請により取り壊されることになった。上海の屋外広告の規制は高さ9m、厚さ0.5m以下とされており、このトランク大看板は高さ20m、奥行き4mで明らかに違反していた。

 

 この大看板は、昨年設置されたものだが、当初は屋内工事のための目隠しとして許可されていた。それが長期に渡り、既成事実化されそうだったため、今回の取り壊し命令となった模様。4/17から撤去作業が開始された。

2.上海市の常住人口2000万人を突破
 上海市発表の人口統計によると、2010年末時点での常住人口は、2220万8300人に達したという。このうち上海市の戸籍を持たない出稼ぎ労働者などの流動人口は約4割まで拡大した。また60歳以上の高齢者人口の割合は22.5%となり、5人に1人が高齢者である。さらに14歳以下の若年人口は8.3%で、高齢者人口は今後、毎年20万人ずつ増加する見通しなので、勤労世代への社会保障費などの負担、上海市全体の労働力不足などが危惧されている。このほか、1平方キロ当たりの人口密度は3503人で、全国平均の20倍。

3.上海の175人に1人が1000万元富豪
 ある研究者が、上海に住んでいる1000万元(約1億3千万円)以上の資産を保有する富豪は、13万2000人で、しかもその平均年齢は39歳と発表した。これによれば、上海市には175人に1人の割合で、若年の1000万元富豪がいるという計算になる。彼らは平均3台の車を乗り回し、高級腕時計4個を持っているという。職業別では、企業家55%、不動産投資家20%、証券投資家15%の順。

4.上海市の成人は40%弱が肥満
 上海交通大学の調査によれば、上海市の成人男女は40%弱が肥満であることがわかった。30代は32.7%、40代は39.4%、50代は41.4%であるという。なお、30代は週平均3回外食をしており、ファストフードやインスタント食品を週2回ほど食べているという。

5.上海で、「飼い犬管理条例」スタート
 4/15から、上海市で「飼い犬管理条例」施行された。上海市では生活水準の向上や高齢者の増加により、ペットとしての「飼い犬」が激増。それとともに未登録犬も登録犬の約4倍に当たる60万匹以上に増えた。市当局も狂犬病急拡大の恐れを強く認識し始めており、従来の登録費1000〜2000元を約1/3に大幅値下げした新たな条例を打ち出した。

 市民の間ではこの条例がおおむね歓迎されているが、未登録犬が絶無になることはないし、飼い主に糞尿などの始末のマナーがまったく徹底していないと、眉をしかめている人も多い。

6.上海市で生ゴミ分別スタート
 上海市当局は、増え続けるゴミ対策として、このほど市内のモデル地区100個所を対象に、生ゴミとその他のゴミの分別回収を試験的にスタートさせた。この経験をもとに、2015年には市内全域で、生活ゴミの分別を徹底させる計画だという。

7.上海市浦東新区陸家嘴に大型地下歩道建設
 上海市の浦東新区陸家嘴で、同区にある主要な施設と地下鉄などをつなぐ大型の地下歩道を建設することが発表された。同区には金茂大厦、上海環球金融中心、建設中の上海中心などの高層ビルや、正大広場、上海国金中心商城などの大型商業施設が林立しており、それらと地下鉄2号線、14号線をつなぐ地下歩行空間を2階建て構造で建設する計画。投資総額は4億7千万元(約59億円)。ただし地盤の問題が危惧されている。

8.上海でビル火災 4人死亡
 4/19午後1時半ごろ、上海市中心部の人民広場に近い上海電信ビル(地上24階建て)の13階から出火。室内でエアコンの溶接作業をしていたところ、断熱材に引火。ビル内にいた4人が窒息死。

9.上海の日系塗装工場で火災
 5/16午前、上海市金山区にある日系塗装工場:和宏華進納米科技(上海)有限公司で爆発を伴う火災が発生。中国人従業員2名が死亡。除塵室内でこぼれた溶剤に引火したのが出火原因と思われる。同公司は日本の独資で、2007年に稼働、従業員は400名、携帯電話やデジタルカメラのケースの塗装を手がけていた。

10.日本人開業のショッピングモール、1年弱で閉鎖
 上海市盧湾区徐家匯路にある日本人経営のショッピングモール「東方天地」が、開業1年足らずで閉鎖に追い込まれた。周辺の道路に人通りが少なく、立地条件が悪かったものと見られる。しかし4/30には大手家電量販店の蘇寧電器がこの場所でオープン。

  
       閉鎖された東方天地

11.上海市浦東新区で、「そごう」ブランドの高級百貨店建設計画
 上海市の浦東新区、地下鉄2号線「東昌路駅」の南側に、香港で「そごう」ブランドの百貨店を運営する利福国際集団が高級百貨店を建設する計画で、同地区の開発公司が合意。総建築面積は約30万uで、2017年ごろオープン予定。

  
           建設予定地