小島正憲の凝視中国

暴動情報検証 : 2010年4月  


暴動情報検証 : 2010年4月  
21.MAY.10
1.は検証済み、2.〜12.は未検証。   暴動レベル基準は文末に掲示。

1.4/08、湖北省武漢市省政府前で、退役軍人約1000人が集団陳情。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/08、武漢市の湖北省政府前で、1960年代にベトナム戦争に参加し米国と戦った退役軍人約千人が老後の生活保障を要求して集団陳情を行った。
なお同日、同省仙桃市でも市政府前で、約200人の退役軍人が同様の集団陳情を行った。

・実情 : ベトナム戦争従軍退役軍人ら1000人ほどが、武漢省政府前で集団陳情を行った。静かな陳情で、中には車椅子に乗った人や傷痍軍人がいたという。

 なお、当日は政府幹部がこの陳情者の代表に面談し、善処を約束したため、陳情者たちは静かに解散した。
 中国政府はいまだに、ベトナム戦争に参加した事実を公的に認めていないため、ベトナム戦争に従軍した軍人の功績は当局に認められておらず、年金などの生活保障を受け取れない状態であるという。近年、全国各地で、このような「ベトナム戦争従軍退役軍人」の陳情が相次いでいる。

 集団陳情者の掲げていた要求は、次のようなものであった。

1.外交関係に影響を与えない範囲で、ベトナム戦争への参加の事実を認め、記念活動を行わせよ。

2.毎年の建軍記念日あるいは清明節に、関係者一同が参会し、烈士の家族や墓の慰問活動をすることを許可せよ。

3.ベトナム戦争に従軍した兵士のすべてに、状況に応じた生活保障をせよ。
  @犠牲になった烈士の家族に対する待遇を大幅に引き上げ、ことに生活困難な家族を優待せよ。
  Aベトナム戦争従軍後に死亡した老戦士にも、一括で補助金を支払え。
  Bベトナム戦争で負傷した老戦士の待遇を引き上げ、晩年の生活を保障せよ。
  Cいまだに農村で暮らしている老戦士の待遇を大幅に改善せよ。
  D定年退職した老戦士に、どの職場からの定年退職であるかを問わず、一定の特別手当を支払い、ベトナム戦争で国家に貢献したことを肯定すること。
  Eベトナム戦争で功績のあった老戦士に、その功績に見合った特別な手当てを支給せよ。
  Fベトナム戦争に従軍した老戦士の病院費用を免除せよ。
  G抗米援ベトナム記念章および功績章を、従軍した老兵士に支給せよ。

・参考資料 : なおこの集団陳情後に、ネット上などではベトナム戦争について多くの見解が展開されている。
その中の代表的なものを紹介しておく。

≪1965〜75年にかけて、中国人民解放軍はベトナム軍と協力し、ベトナムで米国と戦った≫

1964年8月5日、アメリカ海軍の軍艦がベトナム北部沿岸に侵入し、ベトナム軍に砲撃された。アメリカはそのことを口実に、大量の戦闘機で北部ベトナムの爆撃を開始した。
1965年2月、アメリカ海兵隊は南部ベトナムに直接侵入し、空軍は北爆を続行した。その上、中国にも侵入する構えを見せた。ベトナム人民はホーチミンの指示のもとでアメリカと戦った。中国政府もベトナム政府の要求に応えて、中国南部の安全を守るため、あらゆる方法でベトナム軍と協力してアメリカに対抗し、国を守った。中国とベトナムの両国政府と軍隊は、合意に基づいて、中国から大量の物資を提供し、防空作戦、国防工事、後方勤務などの支援のため、たくさんの部隊を派遣した。
最初に高射砲部隊を防空作戦のために派遣した。最終的にこの作戦に従事した延べ参加兵士数は15万人になり、1500機以上の戦果をあげた。また工兵は延べ10万人以上が参加し、1800個所あまりの爆撃によって破壊された鉄道施設や600kmに及ぶ鉄道、300余の橋梁、4500余の河川、1200km余の道路、2か所の飛行場を補修した。
1973年8月までに中国政府は32万人余の兵士をベトナムに派遣し、200億ドルに及ぶ支援を行った。その結果、中国人民解放軍の軍官と兵士合わせて、1100人が死亡しそのままベトナムの地で埋葬され、4200人が重傷を負い帰還した。
1975年5月、ベトナムの抗米戦争が終わった。勝利したベトナム政府は、中国人民と中国人民解放軍の多大な援助に感謝の意を表した。


2.4/27、北京市石景山区でビールメーカーの販売員ら20人が、他のビールメーカー事業所を襲撃。

                                                    暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/27、北京市石景山区でビールメーカーの販売員らが、他のビールメーカーの事業所を襲撃し、双方の従業員が2名ずつ負傷した。ビールメーカーの販売合戦に従業員が巻き込まれた模様。襲撃以前にも小競り合いがあり、一方の従業員が刃物で刺されていたという。

・実情 : 5/09に、現場付近まで調査に行ったが、事件を確認できなかった。


3.4/09、広東省仏山市南海区夏西村で、村民が土地問題で村幹部に抗議。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/09、仏山市南海区夏西村で、村民が村の幹部が村の土地を低価格で、不動産業者に貸し出したので、それに抗議して村の入り口の海三路でデモを行った。警察が制止したので、騒動になり、武装警察が出動し夜8時ごろに鎮圧。村民女性1人が負傷。


4.4/11、北京市朝陽区五里橋区で、マンション購入予定者が不動産業者に抗議。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/11、仏山市南海区夏西村で、マンションの購入予定者が、マンションの販売公示価格が1日で平米当たり0.4万元も高くなったので、不動産業者に抗議。一時は1000人以上が不動産業者の事務所ロビーに集まり、抗議をしたという。


5.4/13、北京市延慶県延慶鎮で、住民の立ち退きをめぐって騒動。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/13、北京市延慶県延慶鎮で、鎮政府が住民を立ち退かせるために雇った業者が、立ち退きを拒否していた26戸の住民の家屋を、強制撤去しようとしたところ、住民と衝突した。この鎮ではすでに600戸に及ぶ住民が鎮政府との話し合いに合意し移転していたが、残りの住民は移転後の住居の購入額の自己負担分(10数万元)に納得せず、移転を拒否していたという。


6.4/13、遼寧省庄河市、龍王廟村の村民が市政府前で抗議行動。  暴動レベル0。

・マスコミ報道 : 4/13、庄河市政府前で龍王廟村の村民ら1000人以上が、「村政府幹部が埋め立て工事と土地収用を執行する途中で、公費を流用し、業者から賄賂を受け取り、満足に職務を行わなかった」と抗議を行い、市長との面談を求めた。なお村民たちが市政府前で座り込んで陳情している様子がネット上で流れ、大きな話題となっているという。


7.4/16、福建省福州市で、インターネット利用者数百人が抗議デモ。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/16、福州市で、全国からインターネット利用者数百人が集合し、福州市馬尾区人民法院前の道路で抗議デモを行った。インターネットで警察の捜査を批判した市民3人が、警察から「中傷罪」で告訴され、同日その判決(1人に懲役2年、2人に同1年)が出たため。


8.4/21、広西チワン族自治区防城港市防城区潭西村で、立ち退き拒否の村民と警察が衝突。 

                                                  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/21、防城港市防城区潭西村で、強制立ち退きに反対する村民に警察が発砲し、村民8人が負傷した。同日、午前10時ごろ、警察官を含む数百人が村民に立ち退きを強行した。市政府は鉄鋼工場の建設のため村の土地を買収したが、村民はその補償金に不満であり、立ち退きを拒否していたという。


9.4/22、四川省綿陽市で、解雇された教師たちが市政府前で抗議行動。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/22、綿陽市政府前で、市内の三台県、平武県、?定県、安県などから解雇された教師たち約100人が集まり抗議を行った。陳情が始まってすぐに、各県から派遣された警察が教師たちを立ち退かせた。


10.4/22、四川省峨眉山市峨山鎮保寧村で、村民と警察が衝突。  暴動レベル1。

・マスコミ情報 : 4/22、峨眉山市峨山鎮保寧村の村民が、峨秀湖環湖観光地工事に反対し、峨眉山の入り口で火を燃やすなどして抗議行動を起こし、制止に入った警察と衝突した。消防士を含む7人が負傷した。


11.4/27、江蘇省?陽市で、住民が化学工業園出入り口で集団座り込み抗議。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/27、?陽市の化学工業園周辺の村民約100人が、工場の西南出口や南出口の門前に集まり、工業園内の工場の移転などを要求して座り込み、工業園内への物資の運搬を阻止した。周辺住民は10年以上にわたって、工場から出る排水や有毒ガスに悩まされ続け、農業は続行不可能となり、健康被害もひどくなってきているという。


12.4/29、河南省?県で、立ち退き拒否の住民と警察が衝突。  暴動レベル0。

・マスコミ情報 : 4/29、?県で道路を建設するため、県政府が住民の強制立ち退きを執行した。住民は補償金の額に不満で立ち退きを拒否し、屋根の上に上り座り込んだ。警察が住民を強制排除した。


≪私の暴動評価基準≫

暴動レベル0 : 抗議行動のみ 破壊なし

暴動レベル1 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以下(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ

暴動レベル2 : 破壊活動を含む抗議行動 100人以上(野次馬を除く) 破壊対象は政府関係のみ 

暴動レベル3 : 破壊活動を含む抗議行動 一般商店への略奪暴行を含む  

暴動レベル4 : 偶発的殺人を伴った破壊活動

暴動レベル5 : テロなど計画的殺人および大量破壊活動