小島正憲の凝視中国

読後雑感 : 2011年 第3回 & 第4回


読後雑感 : 2011年 第3回 
28.JAN.11
1.「中国を拒否できない日本」
2.「日本人と中国人はなぜ水と油なのか」
3.「中国最大の弱点、それは水だ!」
4.「中国人観光客が飛んでくる!」
5.「中国の恫喝に屈しない国」

1.「中国を拒否できない日本」  関岡英之著  筑摩書房  1月10日
帯の言葉 : 「日本は中国に呑み込まれるのか? 中国の新国家戦略を徹底検証!」

関岡氏はノンフィクション作家だと自称しているが、本文中には事実の誤認が多く、むしろフィクション作家の類だと言った方がよいと思う。関岡氏自身の調査スタイルは、「ノンフィクションというものは、事実の断片を一つ一つつなぎ合わせながら、独自の世界観を構築してみせなければならない。文章を書いているよりも数十倍の気の遠くなるような期間、資料の収集、整理、分析というしんどい作業に忙殺される。…(中略)書斎にうずたかく積み上げた書籍の山から探し出して読んでみた」と書いているように、99%まで文献主義であり、現場実証主義ではない。本書でも、関岡氏が現場で見て書いた事象は、わずか1個所のみである。今どき、この方法では、真実を見極めることは不可能である。現代の情報化社会では多くのガセネタがまことしやかに横行しているので、文献や新聞、ネットなどを徹底的に渉猟した上で、自分の目で現地を確かめ、そこで真実を確認し、それをさらに資料で裏打ちするという作業が、ノンフィクション作家にも必要なのである。書斎の中に埋もれていては、フィクションの類しか書くことはできない。

昨年1年間で、約250冊の中国関連本が発刊された。私はそのうち約200冊を購入し、100冊以上を読み込み、そこに書かれている現場に足を運び、実地検証を行い、その真偽についてコメントを書いてきた。今後、関岡氏にもぜひ、書斎から飛び出し、現地発信で物を書いて欲しいと思う。

本文中の関岡氏の数少ない現地検証として、長野における聖火リレーの報告がある。しかし関岡氏の見方は一面的である。私もこの長野の現場には行って見ているし、さらに私は翌日、ソウルまで飛び韓国の聖火リレーの現場も見てきた。それは関岡氏の報じている物とはかなり違う。この本で関岡氏が書いていることは、かなりの部分が創作であり、事実ではない(詳細については、2008年4月の私の小論「実況速報:カルフールと聖火リレー」を参照していただきたい。ただし文中で私は回族をウイグル族と間違えて書き、識者の失笑を買った)。

尖閣諸島問題に関しても関岡氏の書いていることは、すべてがマスコミの受け売りで、自らが調査研究したものはなく、とても「独自の世界観を構築」しているとは思えない。ことにフジタの社員の拘束については書いても、遺棄化学兵器問題には一言も触れていない。この態度は卑怯であり、ノンフィクション作家を自称するには不遜である。

関岡氏は「中国が世界第2の経済大国となり、今後の世界経済を揺るがす」というマスコミの垂れ流す情報を鵜呑みにして、すべての論旨を構築しているが、中国に関しては、「中国経済は砂上の楼閣であり、今後、それが世界経済の攪乱要因となる」という現状認識が正しい。タイやミャンマーなどの分析にも、事実誤認が多い。

.「日本人と中国人はなぜ水と油なのか」  太田尚樹著  KKベストセラーズ  1月20日
帯の言葉 : 「−異質性の根源に迫る−近くて遠いこの隣国のように 日本もしたたかに生きられないのか」

太田氏はこの本で意図したことを、「メディアの世界のように、現在、目の前に展開されている局面の推移に焦点を合わせるのではなく、日中両国の間に流れた2千年の時空間にまで遡り、文明、文化の大きな枠の中で、国民性の原点を見直そうとする試み」と、書いている。たしかに第1〜4章までは、満州事変前の日中両国の歴史的経過を著しているが、あまりにも総花的かつ常識的で、文中から読者が、「両国が、なぜ、水と油なのか」を解読することは難しいと思う。ただし両国の「死生観」に注目し、新渡戸稲造の「武士道」を引用して日本人を解析している点は、評価に値する。私もこの点を参考にしながら研究をしてみようと思った。

第5章で太田氏は、「盧溝橋事件が“日華事変”となって8年間つづいた日中戦争は、日本は申し開きできないものの、その前の満州事変、満州国建国については、日中戦争と切り離して考えなくてはならない。つまり、満州は中国ではなかったのだから、満州事変は日本が中国を侵略したことにはならない」と主張しているが、これは詭弁である。さらに太田氏は、「ところで日中戦争には、“侵略”という言葉がよく使われます。しかし“侵”があったことは事実ですが、“略”はなかった。中国から“略奪”するモノはなかったし、おまけに日本軍には“戦略”もなかったからです」と書いているが、多くの中国人民の土地や家財が日本人の手によって奪われたことは紛れもない事実である。まだ当の本人たちが存命中であるから、その生き証言を集めることも可能である。このような詭弁を弄する太田氏を許すわけにはいかない。

また太田氏は、「江沢民が子供のころから抗日教育を受け、日本嫌いになった」と書いているが、これは大きな間違いである。江沢民氏はハルピン工科大学の出身であり、むしろ日本の影響を強く受けており、政権の座に着いてからそれを追及されるのをかわすために、「反日」のポーズを取らざるを得なかったというのが真相である。さらに「満州国の現地に残された資産は、今の金にしたら数百兆円を越えるといわれている」とも書いているが、これも正確さを欠いた文言である。少なくとも、遺棄化学兵器というマイナスの資産も残しているわけだから、これも計算に入れ差し引きして考えなければならないはずである。

現代中国に関する太田氏の分析は、かなり見当外れの点が多い。人手不足についての認識はなく、「現在でもとくに農村の失業者対策」が重要であると書いている。また現代中国の若者はパワフルであると述べているが、最近の若者はすでに「80后、90后」などと言われ、その元気は失せている。

.「中国最大の弱点、それは水だ!」  浜田和幸著  角川マーケティング  1月23日
副題 : 「水ビジネスに賭ける日本の戦略」  帯の言葉 : 「水を制するものは世界を制す 

世界中で繰り広げられる水争奪戦争を勝ち抜くために、日本の取るべき方策を説く!」

浜田氏はこの本の副題をタイトルに掲げるべきだった。なぜなら浜田氏自身が結論として、「日本が抱える水問題としては、@水に関しては技術大国であるにもかかわらず、国際競争力がまったくないこと、Aバーチャル・ウォーターを大量に輸入していること、B隣国中国の水不足の3点があげられよう」と言っているように、中国の重要性は順位が3番目であるからである。おそらく尖閣諸島以来の日本社会の反中・嫌中ムードに乗って、本の売り上げを増やそうとして、このタイトルをつけたのであろう。この本は、今後の世界の水問題に警鐘を鳴らす有意義な内容であるだけに、残念なことである。実際に本文中でも、中国について言及されているのは、第1章と第6章の一部のみであり、第2〜5章は世界全体の水問題が論じられている。

さらに浜田氏の中国に関する認識は、専門外だから仕方がないとは言え、かなり不十分である。たとえば、「中国は百年、二百年単位で物事を考えており」と書いているが、現在の中国政府首脳にはとてもそこまで見通す力はない。せいぜい10年後までである。また「中国が戦略的なのは、ハードパワーとソフトパワーをセットで使うことにもある。たとえば、いま世界中で次々と建てられている孔子学院は、ソフトパワーの好例であろう」とも書いているが、この孔子学院が実際には、その意図した効果をまったくあげ得ていないという現実を知らない。しかも「北京五輪の年には、世界的に大問題になったチベット独立運動が起こった」などと、チベット暴動を一面的に認識している。

浜田氏は「中国が日本の水源を狙っているという話は、近年、一部だが確実に騒がれるようになった。…(中略)山林が中国人あるいは中国企業に買われているという話を何度か聞かされた」、「すでに多くの中国人投資家が、そうした日本の水源地に注目し、山林の買収に着手している」と、あたかも日本の水がすべて中国人に買い占められてしまうかのように書き、日本人の不安感を煽っている。しかし浜田氏は中国人が日本の水源を買って、具体的にどのように商業ベースに乗せるかには言及していない。私は中国人投資家たちが日本の山林を購入しているのは、単なる投機目的だと考えている。またもし彼らが水源を押さえるようならば、そのときは日本の法律を変えたり、住民運動で対抗すればよい。私たち日本の企業家の多くも、中国の大地(使用権)を購入して、そこで企業活動を展開しているが、そこにはいろいろな法律上の制約がある。したがって日本も、それに似た法律や条例を新たに制定し、中国人投資家の行動を制限することは不可能ではないと考えている。

それでもこの本を、「水ビジネスに賭ける日本の戦略」という観点から読んだ場合は、教えられるところが多い。

4.「中国人観光客が飛んでくる!」  上田真弓+池田浩一郎著  毎日コミュニケーションズ刊
                                               12月31日発行
帯の言葉 : 「電気釜7個とキャベジンお買い上げ! 行きたいところは温泉とメイド喫茶そんな中国人観光客とのビジネスを成功させるには」

この本で上田氏は、「高い経済成長を遂げている中国で、今後大きなニーズとなる海外旅行を狙って、他国が国を挙げて誘致をしているのである。その勢いはすさまじく、このまま日本がこの大きな市場を前に躊躇していれば、明らかに競合国に抜かれることは時間の問題だ。しかし、日本がこのような状況の真っ只中にいることを知っている人はごくわずかである。インバウンド観光は観光業者ばかりでなく、これまで日本人相手に商売をしてきた企業や店舗、個人であれば、すべてターゲットとして想定できる市場である」と書き、インバウンドビジネスの重要性を説いている。

上田氏が、韓国・台湾・香港からの旅行者と大陸中国からの旅行者では、いろいろな点で差があると具体的に指摘している点は面白い。さらにビザ緩和の影響で中間層の中国人観光者が増えた結果、意外にも、百円ショップやドラッグストアなどでたくさんの安い買い物をしたり、牛丼やラーメンのチェーン店で食事をする中国人観光客が多くなっていると書き、今後は低価格商品が狙い目だと主張している。また中国人の日本に関するイメージはかなり偏っており、ちょっと前まで、温泉は混浴であり、猿もいっしょに入ると思っている人が少なくなかったという。さすがに最近では、インターネットで日本の最新情報を見て訪れる人が多くなり、逆に日本人が知らないような穴場に連れて行ってほしいと頼まれることもあるという。したがって今後は、中国人観光客向けのHPを作り、インターネットで集客することが重要であると指摘している。

最近、韓国が国家として中国人観光客の誘致に乗り出し、ノービザも検討しているという。また円高・ウォン安の現況では、韓国に中国人観光客が流れることも、自然な流れでもある。たしかに先週、私は調査のためソウルにいたが、明洞には中国人観光客が多く、たまたま買い物のために入った店でも中国語が飛び交っていた。支払いカウンターでは銀聯カードで支払う人が多かったので、私も銀聯カードを使ってみたが、日本よりも簡単に支払い手続きが終わった。それは韓国のカード決済システムが優れていることと、中国の銀聯カードの強さとの相乗効果の現れであると思った。

池田氏は、インバウンド戦略にも、「チャイナ+1」が必要だと書いている。これはおもしろい指摘だと思う。

5.「中国の恫喝に屈しない国」  西村眞悟著  ワック刊  12月30日発行
帯の言葉 : 「日本は“大義の旗”を掲げよ!  尖閣敗北 対中迎合という病!」

著者の西村眞悟前衆議院議員は、1997年に尖閣諸島の魚釣島に上陸し視察している。その先見力と行動力には驚く。しかし西村氏はこの本で、「祖国日本と同胞を守ることは、国民の神聖な義務である。その義務を実現する為に、具体的な我々の目標を確認しよう。まず、我が国は陸海空軍を保持する。さらに、中国の核弾頭ミサイルを抑止する為に、我が国は核弾頭ミサイルを保持する」と明言している。私はいかなる理由があっても戦争をしてはならないし、そのために武器を保持してはならないと考えている。あくまでも私の老人決死隊は、丸腰を原則とする。したがって西村氏と私の間には、かなりの距離がある。

西村氏は、「民主党内閣の打倒とは自民党の復権ではなく、このたびの屈辱を生み出した体制そのものの清算にまで至らねばならないのである」と書き、続いて「次の衆議院総選挙が、わが国の運命を決する。真の保守が、全国三百の選挙区のなかに姿を顕さねばならない」、あるいは「ここにおいてわれわれ日本国民の志は、党派を超えた保守・民族派統一内閣の樹立に向けられねばならない」と述べ、日本にウルトラ保守政権が誕生するのを願っている。さらにもしそうならなかった場合、反保守派を「明治時代までの日本人ならけっして生かしてはおかない」と、物騒なことを匂わせている。まさにこれは、戦前の日本が辿った道ではないのだろうか。

今回の尖閣諸島問題を始め、現在、ウルトラ保守が日本社会に一定の地位を占めるには、絶好の材料が揃っている。もし予定通り、今年の6月17日に、華僑を中心とする勢力が、尖閣諸島付近に600隻ほどの船団を派遣して、魚釣島に上陸を試みるとするならば、日本のナショナリズムが一気に高揚して、ウルトラ保守は衆議院選挙に圧勝するだろう。そして社会は暗転し、一瀉千里に戦前の道を走り始めることになるだろう。西村眞悟内閣が誕生する可能性もある。

私は今回の尖閣諸島問題の背景が、中国の軍事的側面や資源問題ではないと考えている。したがって6月17日には事件は起きないと見ている。しかしながら、もし起きた場合は、ただちに路線修正をしなければならない。もちろんウルトラ保守に転向するというわけではないが、老人決死隊の結成を早めなければならないからである。私にとっても、今年は緊張した年になりそうである。

なお文中で西村氏は、「第二次世界大戦が勃発してナチスドイツが欧州を制圧したときだった。2万人以上のユダヤ人難民がナチスから日本へ逃れるため、シベリアを越えてソ連満州国境に集まっていた。わが関東軍は多くの救援列車を仕立てて、この2万人を越えるユダヤ人を救出した。外務省を通じたナチスドイツのわが国への厳重な抗議に対して、救援列車によるユダヤ人救出を裁可した関東軍参謀長東條英機中将は、“当然なる人道上の配慮である”と一蹴した」と記述している。このことの真偽については、早急に調査してみたいと思っている。西村氏のこの記述だけでなく、最近、識者によって戦前の満州国について多くの新見解が開陳されるようになった。私は吉林省琿春に拠点を持っているので、それらを検証できる絶好の位置にある。できるだけ早い時期に、識者の支援のもと、徹底した文献調査と現場検証を基にし、研究会を組織し、それらの成果を集め満州国の実態についての決定版を書きたいと思っている。



読後雑感 : 2011年 第4回 
07.FEB.11
0.第3回分の訂正と補足
1.「中国の言い分」
2.「オレ様国家・中国の常識」
3.「それでも、中国は日本を越えることができない!」
4.「超大国 中国の本質」
5.「中国が世界に知られたくない不都合な真実」

0.第3回分の訂正と補足

読者の方々から、第3回分の読後雑感について、下記のような指摘を受けたので、まず訂正および補足をしておく。

@.《2.「日本人と中国人はなぜ水と油なのか」  太田尚樹著》 

また太田氏は、「江沢民が子供のころから抗日教育を受け、日本嫌いになった」と書いているが、これは大きな間違いである。江沢民氏はハルピン工科大学の出身であり、むしろ日本の影響を強く受けており、政権の座に着いてからそれを追及されるのをかわすために、「反日」のポーズを取らざるを得なかったというのが真相である。

上記の私の記述に対して、「江沢民は父親から抗日教育を受けたわけであり、それを否定する材料がないかぎり、太田氏の主張を誤りであると断定することはできないのではないか」という反論が、読者から寄せられた。たしかに一理あると思うので、「江沢民が幼少時にどのような教育を受けたか」を研究した後、この記述の変更の有無を検討する。

A.《3.「中国最大の弱点、それは水だ!」  浜田和幸著》 

「中国が戦略的なのは、ハードパワーとソフトパワーをセットで使うことにもある。たとえば、いま世界中で次々と建てられている孔子学院は、ソフトパワーの好例であろう」とも書いているが、この孔子学院が実際には、その意図した効果をまったくあげ得ていないという現実を知らない。

上記の私の記述に対して、「まったくあげ得ていないという表現は正しくない。日本の孔子学院でも少数ではあるが、着実に履修生を出しているし、世界各国の学院の実情を明確に把握してからでなければ、まったくとはいえないのではないか」という指摘が読者から寄せられた。たしかにご指摘の通りなので、「まったく」という字句を削除することにしたい。なお、今後、世界各国の孔子学院を実際に訪ね、現場で検証することによって、中国政府が意図した効果をあげ得ているのかを追及してみたいと思っている。

B.《5.「中国の恫喝に屈しない国」  西村眞悟著》

なお文中で西村氏は、「第二次世界大戦が勃発してナチスドイツが欧州を制圧したときだった。2万人以上のユダヤ人難民がナチスから日本へ逃れるため、シベリアを越えてソ連満州国境に集まっていた。わが関東軍は多くの救援列車を仕立てて、この2万人を越えるユダヤ人を救出した。外務省を通じたナチスドイツのわが国への厳重な抗議に対して、救援列車によるユダヤ人救出を裁可した関東軍参謀長東條英機中将は、“当然なる人道上の配慮である”と一蹴した」と記述している。

 上記の私の記述に対して、2人の読者から下記のようなメールが来たので、ここに掲げておく。

・「あれは樋口中将でしょう。樋口中将はソ連の戦犯指定に対してユダヤ人社会が占領軍へ働き掛け、無罪へさせております。私は特務機関について調査しており、東条はハルビンの特務機関とさしたる関係はなかったでしょう。憲兵はスパイに向きません。ユダヤ人に対応したのは特務機関関係者でありました」。

・「満州でユダヤ人を保護したことは有名な話しです。ただし、戦後に満州の話が広がりにくいために杉原外交官のユダヤ人救済にスポットが当たったのです。日本陸軍とユダヤ人の関係は日露戦争時にユダヤ人が日本の国債を買ってくれたことからはじまり、陸軍の中にはユダヤ人に助けられたとの意識があったとのことです。またアメリカのユダヤ人へ日本を攻撃しないようにアピールしたかったというねらいもあったようです。ユダヤ難民に対して満州国入国の便宜を与えた樋口季一郎ハルビン特務機関長(終戦時は中将)はソ連から戦犯要求を受けたが、ユダヤ人の助けで戦犯にならなかったとのことです。イスラエルに樋口中将の記念碑があるらしいとのことです」


1.「中国の言い分」  鈴木秀明著  廣済堂新書  1月31日
副題 : 「なぜそこまで強気になるのか?」
帯の言葉 : 「中国が日本に突きつける言葉の数々。あの国の本音と建前がサクサクわかる!なるほどそういうことだったのか!!」

中国情報専門の“サーチナ”を主宰している鈴木秀明氏のこの著書は、「中国の言い分」を的確に捉えていておもしろい。それでも鈴木氏はあとがきで、「中国人」といっても、さまざまな考えの人、性向の持ち主がいます。当たり前のことですが、外国の人と接する場合には、どうしても“○○人は……”という発想になりがちです。本書で論じた“中国人”とは、あくまでも全体的な傾向であることに留意してください」と謙遜して書いている。この本は、問題ごとにまず「中国の言い分」を紹介し、それを解析するという記述スタイルが取られており、読みやすい。

まず鈴木氏は尖閣諸島問題に関して、「(中国は)歴史に裏打ちされた被害者意識の影響があり、中国は国際法に対して強い不信感を持っています。列強が自分たちの都合に合わせて作った国際法は“中国にとって不利な部分がある”と思えてくるからです。日本と中国の主張が真っ向から衝突する原因はこの辺にもあります」と書き、日中の国際感覚のズレを指摘している。また尖閣諸島近辺の資源問題についても、「実際にはさしたる埋蔵量ではないという説が有力」と書き、「一度中国の領土であると声をあげたからには、たとえ海洋資源が大したことがなくても、振り上げた拳を引っ込めるわけにはいきません。そんなことをすれば、政府が国民から“かつての侵略国である日本に対して、今になっても弱腰”だと突き上げられる事は間違いないからです」と、中国政府の本音に迫っている。沖の鳥島問題にも言及している。

レアアース問題についても、「レアアースの産地では、中央政府が生産管理を強化した2006年以降、レアアース鉱石の盗掘が横行し、違法な生産工場が乱立しました。取り締まりの警官を逆に襲撃するような事件も起こりました。環境保全の意識も浸透していません。中国にとって、レアアースは貴重な資源であると同時に、扱いの難しいお荷物にもなってしまった感があります。…(中略)これまでは“ケ小平戦略”に基づき、レアアースは中国にとって外交カードのひとつでした。ところが、レアアースを必要とする国が、“中国は頼れない”と別の国に全面的に接近すれば、レアアース以外の分野でも、中国は外交交渉における有利さを減少させてしまうのです。いずれにせよ、中国からすれば頭の痛い話ばかりです」と書き、中国政府の混迷ぶりを描き出している。

チベット問題についても、「中国政府は1955年には、現在の四川省内のチベット人居住地域の“社会改革”に着手しました。貴族や地主など世俗人に対する特権の廃止を求めていたうちは、まだよかったのです。土地を与えられた農民は喜びました。ところが、寺院の土地やその他の財産に“手をつけた”ことで、チベット大衆の、共産党に対する見方が一転しました。彼らにとっては、手をつけてならない、文字通りの“聖域”だったのです」と書き、その真相に迫っている。さらに「あるチベット仏教僧が語ったところによると、チベット民族の中で本当に中国から独立したいと考えているのは、5%にも満たない少数派で、独立してもやって“いけない”“貧困にあえぐ可能性が高い”と考える人が大多数というのです」、「かつては少数民族であることを隠す人が多かったのですが、今では“何かと得”と考える人が増えました」と、チベット人の本音の一面を紹介している。しかも「中国全体で問題となっている腐敗問題は、少数民族地域では増幅しやすく、しかも同程度であっても一層大きな社会問題になりやすい」と、鋭く指摘している。

人民元切り上げ問題についてもそのメリットにも注目し、「投機マネーの流入に対する抑制効果」、「物価上昇への歯止め」などを挙げている。

戦後処理問題についても、「“軍国主義者”にすべての責任を負わせることは、中国の立場では“日本人に逃げ道を”残したことにほかならない」と書き、それでも「当時、衆議院は男子普通選挙制を採用していました。とすれば、日中戦争を煽った責任は、選挙民にもあることになります。とくに日本軍が上海に上陸して、南京に攻略の手を進めると、多くの日本人が熱狂しました。新聞なども、戦意を高揚させる“勇ましい記事”をこぞって掲載しました。極めて厳しい情報統制があったことは事実としても、日本は“勝ち戦”に熱狂したのです。つまり、“日中戦争の責任は日本にある”というのなら、”戦争の責任は、程度の差こそあれ日本人全体にある“と言わなければならないことになります」と続けている。私もこの意見には、大賛成である。

北朝鮮問題については、「中国と北朝鮮を結びつけているのは、双方の“現実的な利害関係”なのです。そして、中国と北朝鮮の利害がかならずしも一致しない場合も増えてきました。中国は北朝鮮に対し不快感を持っていると考えられます。中国側から見て、その最大の原因は“北朝鮮が言うことを聞かない”ことです」、「支援しているのに、肝心なとときに役に立たない国」などと書いている。

2.「オレ様国家・中国の常識」  宮崎正弘著  新潮社  1月15日
帯の言葉 : 「何事も常に相手が悪い、ウソは生き抜くための方便、カネで駄目なら暴力で」

巷では、宮崎正弘氏は日本を代表する中国ウォッチャーであると言われている。たしかに今まで、宮崎氏がその堪能な英語や中国語を武器に、中国全土をくまなく自らの足で歩き回り、その体験をもとにして書いた文章には迫力があった。しかしながら今回の著書には、そのスタイルが貫かれておらず、最近、ことにこの1年間の中国現場ウォッチの報告が全くない。したがってどこかの情報の焼き直しみたいなものが多く、宮崎氏独特の切れ味が鋭い論評を本書から賞味することはできない。

宮崎氏は「中国人の考え方では、戦争は悪いことではないのである」(P.174)と書いている。この記述から宮崎氏の戦争観は「戦争は悪いことである」と、推定することができる。ところが宮崎氏は、「日本の尖閣問題の解決方法は明らかである。…(中略)日米軍事演習を尖閣の周辺海域で展開し、自衛隊の艦隊を遊弋させ、魚釣島には陸上自衛隊を常駐させるのである」(P.47)と書いている。もし宮崎氏が主張するように、自衛隊を魚釣島に常駐させたら、それは中国との関係を一層緊張させ、戦争の危機を招来する。戦争が悪いことでありあくまでも戦争を回避するという観点に立つならば、まず丸腰の「老人決死隊」を尖閣に送り込むべきである。自衛隊を常駐させるなどという策を取るべきではないし、それは宮崎氏の戦争観とは矛盾するものである。

この本で宮崎氏は、今までの同氏が主張し続けてきた中国分析を巧妙にすり替えている。たとえば今まで宮崎氏は、中国においては労働者の失業がきわめて大きな問題であると書き続けてきたが、本書では「3K現場では労働者不足、…(中略)とくに広東省、浙江省などでは黒人労働者までが目立つ。“20年後に少子高齢化が中国でもすすみ、1億人の労働者不足に陥る”」(P.17)と書き、中国の人手不足現象を認め、失業対策問題が中国政府の最大の課題の一つであるという氏の従来の主張を、巧妙に取り下げている。また三農問題についても、本書ではほとんど取り上げていない。また「反政府暴動は毎年12万から13万件、パトカー焼き討ち、政府建物に放火、住民暴動は荒々しさに比べても制御された、十数件の反日デモなんぞ無視しても良いくらいだ」(P.95)と書いているが、この文章は理解し難い。中国の暴動については、私の現場検証を読んでいただければわかると思うが、政府の建物に放火するほどのものは少ない。それはさておき、下線の部分は「これらの住民暴動の荒々しさに比べれば、制御された十数件の反日デモなんぞ」と書くべきではなかったのか。

本書における宮崎氏の記述には、事実誤認や解析不足も多い。たとえば「中国はカシュガルの古代都市の中心にあったモスクを破壊し、イスラム教徒を集団住宅へ移住させた」(P.155)と書いているが、私の現場検証ではこのような事実はなかった。宮崎氏が破壊されたモスクとやらの名前と住所を、明示してくれれば、私はただちに検証に行ってみたいと思っている。「中国へ進出したのは良いが、運営に失敗する日本企業があとを絶たない」(P.72)と書いているが、これも極論であり、「儲けている企業も多い」のも事実である。その他、習仲勲(P.11)、遺棄化学兵器(P.45)、延安(P.165)についても誤認個所があり、イタリアの温州商人(P.21)、闇経済(P.130)、特許申請件数(P.138)、土地売買(P.139)、少数民族の実態(P.219)については、解析不足個所がある。

私は今、「開高健を偲ぶベトナムツアー」に参加してサイゴンに来ており、ホテルでこの文章を書いているが、中越関係の宮崎氏の分析は的を射ており、この点では学ぶべきことがあった。また開高健が中国の文化大革命に関するルポを書いていることを本書で知った。さっそく購入して読んでみたいと思っている。

3.「それでも、中国は日本を越えることができない!」  黄文雄著  WAC  1月27日
副題 : 「ほんとうの理由77」
帯の言葉 : 「少子高齢化、貧富の格差拡大は、日本以上に深刻! 環境悪化、有毒食品の摂取で不妊率が急増!中国からの大脱走は年間3百万人!」

巷では、黄文雄氏は日中文化比較研究の第一人者と言われている。たしかにこの本でも、その博学多識ぶりをたっぷり披露している。この本の題名の「それでも、中国は日本を越えることができない」については、私も同意見であるが、その根拠は黄氏とはかなり違う。黄氏は、「従来の中国覇権論や中国人の時代論は、たいてい“経済”を論拠にするものが多い。“物”からだけで、あるいは“数”からだけで、“心”や“質”から視点をはずしたら、日中の全体像は見えなくなるだけだ。うまく行っている中国と、うまく行っていない日本の分野だけをとりあげ、日中の優劣を語っても独断と偏見としかいえない」と言っているが、この本での黄氏の記述は、すべてが大雑把であり、同時に独善的であり、根拠が薄弱な個所も多く、その意味では黄氏の上記の文言はそのまま彼自身に降りかかっている。

歴史的分野における黄氏の主張はともかくとして、現代中国の記述には根拠が薄弱な推論や意味不明の個所が多い。それらを下記に書き出しておく。

・「現在、中国からの大脱走は、私は年間300万人と推計する」(P.41)

・「中国の労働力は無尽蔵といわれても、じっさい単純労働力は極めて不足で、“過剰から不足へ変わりつつある”という中国経済専門家の話はうそである」(P.69)

・「(地下経済は)中国でもたいていGDPの3分の1かそれ以上、台湾とほぼ同じくらいらしい」(P.79)

・「改革開放後、匪賊が復活。2000年に入っても約5万グループ、1千万人いると推定され、…(中略)殉職した警官だけでも、年間2千人前後とも伝えられている」(P.85)

・「性病が大流行、2007年ではすでに6千万人がかかり、毎年40%ずつ急増している。今では、性病が中国人の三大死亡率の一つとなっている」(P.89)

・「たとえば湖南省のある村では、2500世帯の9割が家族連れで南下、乞食村として村起こしに成功」(P.91)

・「公金着服は当たり前のことで、たいてい年間国家予算の5分の1が個人のポケットマネーとして国外流出」(P.143)

・「脳の発達に形成不全な地域住民は約4億人以上で、後天的な社会環境の劣化から、精神異常者は17歳以下は約3500万人、全国の成人は1億人以上ともいわれる」(P.205)

・「現在、中国人麻薬経験者は4人に1人という説もあるが、サッカー場での公開処刑は世界名物の一つ」(P.211)

なお黄氏は、中国国家を「巨大な蜃気楼」と呼んでいるが、それは実存しており、「砂上の楼閣」と呼ぶのが正しい。

4.「超大国 中国の本質」  中嶋嶺雄編著  KKベストセラーズ  2010年12月30日
帯の言葉 : 「尖閣燃ゆ! 日中は対決せよ! 北朝鮮を決して見捨てない“赤い帝国”」

この本は、中嶋嶺雄、渡辺利夫、石平、宮崎正弘、黄文雄、川添恵子、潮匡人などの保守論客そろい踏み共同著作である。これらの保守論客に共通しているのは、中国が「超大国」であるという認識である。私は現在の中国が、「砂上の楼閣」であり、「超大国」でも「強国大国」でもないと考えている。したがってこれらの保守論客の分析や論述は、その根底から間違っており、無意味に近いものであると考える。

トップバッターの中嶋氏は、「日本人の中国像や中国認識を支えてきた要因」として、第1に「中国文明、あるいは中華思想というものが日本にもたらしたインパクト」をあげ、日本人は「中国という古くて大きな文明に無意識のうちに飲み込まれてしまうという弱点を潜在的に持っているような気がしてならない」と書いている。第2に「第二次大戦後に革命中国が出現したことに対するある種の共感」をあげ、「多くの知識人もまた中国には強い憧れを持ち、社会主義中国を非常にバラ色に描くようになる。それが中国へのシンパシーとなって、日本人の中国像に相当の影響を与えた」とも書いている。第3に、「日本はかつて中国を侵略したのだから、その償いをしなければいけないという贖罪感」をあげ、「この贖罪感が、自虐意識につながっている」と主張している。私もこれらの分析は間違ってはいないと思う。

ただし、続けて中嶋氏が、「日本は贖罪感から解き放たれてよい」、「戦後、自国の権力が一人も殺していないという事実を見ることなしに、あるいは見ようとせずに、中国を侵略したということだけを強調することは、現在の強国大国・中国と付き合って行く上ではもはやあってはならない座標軸なのだ」と主張している点には、同意できない。私は中国人が被害者意識を払拭していない限り、たとえそれが自虐意識といわれようが、日本人は贖罪感を持ち続けるべきであると思う。常に贖罪感を持ち、頭を低くして中国人に接することで、余計なトラブルを避けることができるからである。中国は「強国大国」ではなく、「空威張り大国」である。また日本は衰亡しつつある国家ではなく、やがて思想的な大変革を遂げ、再興する国家である。その日本が中国と付き合うには、「金持ち喧嘩せず」の態度がふさわしいと考える。

渡辺氏は、「大国化する中国に対抗して日本が、東アジアにおいて行動の自由を確保し、みずからの存在を確実に証す決定的に重要な2国間関係が日米同盟である」と書き、東アジア共同体などという「さしたる戦略もなく、言葉は麗しいが、内実の不鮮明な“鵺”のような怪物に日本が飲み込まれることだけは避けねばならない」と主張している。

石平氏の小論は、同氏の従来の主張の繰り返しで、新しい視点からの物はない。尖閣諸島問題以降、同氏の著書「私はなぜ中国を捨てたか」が書店にうずたかく積まれており、この問題で一番儲けたのは石平氏ではないかと、私は思っている。

宮崎氏や黄氏の小論は、前掲の2.や3.で解析したものとほぼ同様である。

川添恵子氏の小論は論旨がかなり混乱している。この小論の前半で、同氏は中国人が北海道などの土地を買い漁っていることに警鐘を鳴らしている。「(中国人の)2束3文の私有林の買い漁りは、損をしない幾つもの筋書きがあるとみていい」と書き、その筋書きを「(中国人は)投機目的、新たな利益確保の一つと捉えているはずだ」、「慢性的な水不足が続き、“水の確保が死活問題”と指摘される中国にとって、日本の森林面積の4分の1を占める北海道は掌中に収めたい“超優良物件”なのだろう」と推測している。しかしこの川添氏の記述は、あくまでも推測の域を出ないものであり、論拠に乏しい。

さらに川添氏は、「近々に千歳市周辺はカナダのリッチモンド市と同じ運命を辿ることになるだろう」と推測し、続いて移民中国人に乗っ取られたリッチモンド市の惨状を具体的に書き込み、日本人読者の不安感を煽っている。しかしそのすぐ後で、「日本は幸いにして、投資移民や技術移民といった移民受け入れ制度はない。が、日本国内での移動の自由はある」と書いている。この部分は説明不足で意味不明であり、川添氏の頭の中の混乱ぶりが露呈したのではないかと思われる。川添氏の論を素直に読み進めれば、「日本には移民制度がないから、リッチモンド市のようにはならない」という結論に落ち着くのだが、いかがなものだろうか。中国人のリッチモンド市の不動産の買い占めは、移民した中国人たちによって行われているものであり、彼らは明確に顔の見える買い主である。日本の不動産の買い占めは、川添氏が書いているように、「買い主、施工主の顔が見えない」、「香港系というよりは中国政府系では?」によって行われている。つまり両者はかなり違っており、「同じ運命を辿る」ことはない。

川添氏はこの小論の後半の部分では、一転して、ブータンの国土を中国が侵していると書いている。同氏は「首都ティンプー在住者から聞いた話だが、北部の山岳民族がこう語っていたという」と書き、“又聞き”で、中国がブータン国境を侵していると主張している。ノンフィクション作家を自称する川添氏ならば、これらの事実を自らの目で検証し、小論をしたためるべきである。“又聞き”では、この小論がフィクションと見なされても文句は言えない。しかし私とても、ブータンの現場など見たこともないので、中途半端な批評をすることはできない。今年中に、ブータンに行き、川添氏の小論の真偽をこの目で確かめてみたいと思っている。

潮氏はこの小論で、「軍事でも経済でも中国に抜かれた日本」と述べ、今後の10年間で「日中間で激しい利害衝突が繰り返される」と予測している。軍事面での日中比較については、次回の読後雑感で検討してみたいと考えている。

5.「中国が世界に知られたくない不都合な真実」  板東忠信著  青春出版社刊  1月5日発行
帯の言葉 : 「マスコミが絶対に書けない“ゆがんだ大国”の本性を暴く」

坂東忠信氏は、警視庁勤続18年の捜査官で、北京語が話せることから、中国人犯罪者やその関係者1400人と向き合ってきており、退職後、その経験をまとめて本著を書いたという。つまり本書に登場するのは、中国人の中でも悪人の部類に属する人物であり、善人は少ない。したがってそのことを十分に考慮して、本書を読まなければならない。

板東氏は本書で日本に在住する中国人の生態や中国そのものについて、いろいろと解説しているが、そのほとんどが状況説明の範囲にとどまっており、その根拠や解決策については語っていない。下記にそれを列挙しておく。

・超「少子高齢化」の中国は日本を目指す
・攻撃性を高めてしまう中国語
・一般レベルでは今も親日国家である台湾
・暴動の発生件数は2009年には、年間10万件
・「国防動員法」で中国在住の日本人が人質に
・お見舞い金欲しさに自殺者が多発
・中国に進出した日本企業が没落していく過程

板東氏は、中国人は交通ルールを守らない人が多く、「(日本は)中華モラルのドライバーで溢れてしまうかもしれない」と心配しているが、日本よりも中国人が多い、カナダやオーストラリアでは交通ルールなどが厳格に守られており、決して中華モラルに成り下がってはいない。問題は、それらの交通ルールを執行している日本人の側にあるのではないかと、私は思っている。

板東氏は民主党の議員には旧左翼活動家が多く、極左政権だと決めつけ、返す刀で自民党にも「つながりをたどれば大きな声ではいえない勢力が見え隠れする」と言い、ウルトラ保守政権誕生への道を巧妙に敷設している。